2010/01/06(水)星の旅人たち(原画名はThe Way)
感想。
最終的にほのぼのとしてしまう。 孤独と温もり。個性ときずな。
いつのまにか微笑んでいる自分に気づくような物語。
アメリカ、フランス、スペインが舞台。
淡々と進む物語。
主人公の老医師。
自然志向の医学生の息子の突然死。
興味のなかった巡礼に、涙しながら歩き出す。
息子のリュックと遺灰を背負いながら。
リュックには何十回も映し出される目立つ、、日本の旭日旗。
この映画には日本人も日本語も出てこない。
旭日旗の理由も映画では語られない。
息子の遺灰の祀りかた。
“宗教と 人間の信心深さは 関係ない” というシーン。
そもそも巡礼自体もそう思う。
自分と向き合うためのきっかけでありツールという視点もある。
(もちろん、先人や文化への畏敬や教えは貴重なことだと思う)
やたらワインを飲むシーンがステキ。
焚き火や炎が多い。
巡礼中、野宿をしたり、贅沢すぎるホテルに泊まったり
のどかな自然背景、文化的街並みとともに、亭主や子供のDVの話、
“世の中 イヤな奴ばかりだ あえて敵をつくることはない” と。
仲間と酔いつぶれ、警察に手錠かくりされる。
ジプシーと差別される少年の泥棒と、金品より名誉と人間をとおす父親。
情熱的な曲と踊りの宴シーン。
流れるBGM.
“ 僕の心で 何が起きているのか
石のように冷たくなったのか
近頃 何も 感じない気分なんだ
感情がひどく傷つくこともない
僕の心で 何が起きているのか
その揺れが 止まらないんだ
心の中から 引きはがしたい
揺れと闘って 止めようとした
でも止まらない
もっと 愛が必要なんだ
友よ 愛がたくさん必要なんだ
心が凍らぬようにするには
最後まで進むためには.… ”
メッセージ。 どう思う?
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巡礼。
先行していたのは、目的と理由、、意味付けばかりの自分。
焦りと怒りと嘆き。
それに苦しんで迷って、行き着いたのは、、
目的も理由も意味付けもいらなかったということ。
あるがまま。したければすればいい。やり遂げればいい。
違和感が消えた真理があった。
振り返ると
巡礼なんて、、、と思ってた自分が、巡礼好きに。
1990年初期に始まった。
インド。サールナート、ガンジス川、タージマハール。
歩く、食る、寝る、知る、未知、出会い、アクシデント、嘘、誠。
新鮮、衝撃、無知の知へ。
のちに、この旅は旅というより、、巡礼だったと。
最低限のマナーやルールを守りながらも、、自分勝手巡礼ほど、しっくりきた。腑に落ちた。
なんでも、、歩きを止めたら、ゲームオーバー、The END.
自然文化巡礼。 自他で気づいた。 わずかな一歩一歩。
そこには、ひかれたレールにある形式形骸的な宗教性や崇拝思想はなかった。
どこからともなくくる神秘さと微笑み。
巡礼に対する無造作の疑心暗鬼と無興味が覆されていく。
巡礼の効果は心理学、脳科学、各種療法でも証明されている。
日本では伊豆や奈良やそのほか、、マイ巡礼地がある。
強烈なパワーと癒しのスポットだ。
なにかに迷い悩んでいるとき。
すべてが充実しているとき。
どちらでも、ふとあるく。
怒り、穏やか、、自分と対話できる
そんな場所が一つくらい、人生にあってもいいかもしれない。
自然文化巡礼。
心身の垢落とし、人生の棚卸し。
世界散策。長い散歩道。
これからもたくさんの“灯りと道”を歩めるのが至福でならない。
巡礼をするかどうかを選ぶ権利は誰にでもある。
実は、
巡礼からも、巡礼をする人を あえて選んでいるように見える。それが巡礼だ。
好き嫌い。やるやらない。
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